あなたは酸性雨がどんなものかを知っていますか?名前は授業やTVで聞いたことがあっても「そこまで詳しくは知らないな?」なんて人もいると思います。
私が子供の頃は雨が降ると男子が「酸性雨だ?濡れたらハゲるぞ?」なんて言ってふざけあっていました。実は今、この酸性雨が冗談では済まないレベルで、全世界に恐ろしい影響を与えているんです。
でも酸性雨が良くないものというのはわかっても、私達にとってどんな問題があるのか、頻繁にニュースで報道されているわけではないのでよくわかりませんよね。
あまり知られていない世界各国で起きている深刻な酸性雨の被害の数々…その中にはなんと日本も含まれているんです!
「酸性雨って海外だけじゃないの!?」と思ったあなた!ぜひこの記事を読んで、決して他人事じゃない酸性雨について詳しくなっちゃいましょう!
世界で起こっている!「酸性雨の被害」の実態とは?
酸性雨とは、大気中で大気汚染物質が化学変化を起こして混じった雨のこと。この雨が降ることで生態系は様々な被害を受けてしまいます。特に海外の自然は大ピンチ!
たくさんの国を巻き込んでいる酸性雨。これが原因で起きた恐ろしい被害の数々をご紹介します。
死の湖
ヨーロッパや北アメリカでは、多くの湖や沼の水が酸性雨が降ったことで酸性に変わってしまいました。
水が酸性に変化するとプランクトンや小さな生き物から少しずつ死んでいき、それを餌にしていた大きな生き物達も病気になったり餌が無くなることで餓死してしまうんです。
こうして生き物がいなくなった湖は死の湖と呼ばれています。
スウェーデンでは21500ヶ所・カナダでは4000ヶ所・アメリカでは220ヶ所が酸性雨の被害に遭いました。
酸性雨の影響は水の生き物だけではとどまらず、その汚染物質を含んだ魚を食べた人間も体に異常が出てしまうのでとっても怖いですね。
スウェーデンでは死の湖を生き返らせるために、酸性化を中和させるアルカリ性の石灰を大量に撒いて対応をしています。
黒い森
酸性雨は世界中の樹木への被害も跡を絶ちません。
木は直接酸性雨を受けるだけでなく、その水が染みこんだ土からも影響を受け、葉や木が弱ってしまうことで病気になったり、害虫に負けてしまいます。
すると酸性雨が降った所の木々はどんどん枯れていき、やがて樹木は全滅します。
特にドイツのシュヴァルツヴァルトでは、たくさんの木々が変色したり枯れるなどの被害を受けてしまい、黒い森と呼ばれています。
黒い森が増えれば増えるほど、地球の温暖化にも拍車がかかるのですぐにでも食い止めなくてはいけませんね。
人への被害
私達人間が酸性雨の影響を受けると目や喉、鼻や皮膚を刺激される事があります。酷い場合は髪が緑に変色したり、死に至ることも…と言っても酸性雨が降ってすぐに大きな影響が出るわけでありません。
ただ、地下に埋まっているアルミニウムなどを酸性雨が溶かす事があり、その水が流れ出て飲料用水に混じってしまうと口にした私達は気づかないうちに、じわじわと体内に蓄積されていきます。
これがアルツハイマーなどの病気の原因の一つとも言われているんです。
その他の被害
酸性雨が土の中に浸透すると土が酸性に変化し、土本来の栄養が流れ出てしまいます。
それが原因で植えられている木々や作物が育たなくなったり、不作が続くなど植物だけでなく私達人間も大きな影響を受けます。
更にコンクリートや大理石も少しずつ溶かす事があり、既にパルテノン神殿・ローマにある遺跡・ドイツの大聖堂などの歴史的建造物や彫刻が酸性雨の被害が報告されています。
私がギリシャに行った時パルテノン神殿が工事中でした。これは酸性雨の影響だったんですかね…
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そもそも酸性雨っていつから問題になり始めたの?原因は何?
自然から人間にまで大きな被害をもたらしている酸性雨ですが、一体いつ頃から問題なり始めたのでしょうか。
イギリス
19世紀1960年代のイギリスでは産業革命が起きており、石炭やコークスを大量に使っていました。
この工場や自動車から出される大気汚染物質の硫黄酸化物(SO2)と質素酸化物(NOX)が雲に変わって雨が降る事で、この物質を含んだまま強い酸性の雨になるんです。
地域によっては炭化水素・アンモニア・メタン・一酸化炭素・塩化水素も含まれている場合があります。
この頃から排気ガスなどが原因の大気汚染が始まり、酸性雨が降り始めました。
そしてイギリスやヨーロッパ付近で出された大気汚染物質が影響していると世界的大問題となったのです。同じ時期に気管支炎で亡くなる人が増えたことから、大気汚染物質が原因の健康被害が注目されました。
日本
日本では1973?75年に関東で強い酸性雨が降り、多くの山の樹木が枯れたことから「禿げ山」と呼ばれる場所が増えていきました。
他にも目や喉の痛みなどの健康被害を訴える人が続出!その数なんと3万人以上!
この大気汚染物質が雨に代わり降ってくるまでには、国境を超えてくることもあるそうです。自分の国だけが対策をしていれば安全なわけではないんですね。
日本では1983年から全国で酸性雨に関する調査を開始しました。今でも酸性雨は降っていますがまだ大きな被害はありませんし、すぐに危機的状況にはなりません。
しかし研究の結果、このまま酸性雨が降り続けると早くて約30年後には湖が酸性化してしまうなどの被害が出始めるそうです。
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まとめ
いかがでしたか?酸性雨の被害は気づかないうちに拡大しているんですね。でも日本だけでなく全世界でこの酸性雨に関するモニタリングや研究がしっかり行われています。
これ以上酷い状況にならないように、私達もゴミの分別をしっかり行ったり、少しでも排気ガスを出さないように気をつけて、酸性雨の被害を減らして行きましょう。