お盆の代表的な行事と言えば、全国各地で行われている「大文字焼き」がありますが、この大文字焼きが、火ではなくLED電球によって灯されたことが話題になっています。
いったいどこで?どうしてそういうことになったの?
そのあたりをまとめてみました。
大文字焼きがLEDの電球で点灯されたのは2017年の山梨県
大文字焼きがLEDで点灯されたというのは本当です。
2017年に行われた、山梨県の「甲斐いちのみや大文字焼き」でのこと。
それまでは、他と同じく火を焚いて行っていた大文字焼きを、LEDでの点灯に変更。今後も火を焚く予定はないとのことです。
甲斐いちのみや大文字焼きとは?
甲斐いちのみや大文字焼きとは、毎年お盆の8月16日に行われる、山梨県笛吹市一宮町のお祭りです。
笛吹市はココ▼
もともとは、江戸時代に行われていた、お盆にご先祖様の霊をお送りするお祭りだったのを、1988年に復活させたもので、2018年8月16日の開催で31回目になります。
当日は、大文字焼きの他にも、花火が打ち上がったり、キャラクターショーやアーティストのライブがあったりと、華やかな夏祭りとなっています。
イベント会場:「いちのみや桃の里ふれあい文化館」前の特設会場
お問い合わせ:笛吹市役所一宮支所 0553-47-1111
問題のLED点灯は、第30回の2017年に行われたお祭りの出来事。
一宮の大文字焼きはもともと、13日から15日までは大の字を白熱電球で灯し、16日にたいまつで火を灯す形を取っていましたが、2017年のお祭りでは、直径約40cmのLEDライト44個を、「大」の字の形に並べて点灯しました。
横棒の長さは56メートルで、従来より一回り小さくなったと言います。
おそらく全国で初のLEDでの大文字焼きとなりました。
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大文字焼きLED化の背景
大の字に火を焚く作業は、山の斜面で行うため、足場が悪く危険だという意見が前からありました。
そこに、作業員の方の高齢化と、かかるコストのことを考えて、今回のLED化に踏み切ったということです。
もちろん、実行委員の中でも火ではなくなる無念さはありました。
でも時代の流れと言うことで、前向きに捉えて欲しいと、担当者は言っているそうです。
賛否両論
この件に対し、2ちゃんねるでは、
「CO2も出ないし、時代にあった試みなのかも。」
「そのうち花火もLEDかな」
「もうバーチャル配信でいいじゃんw」
と、受け入れる声もある一方で、
「火じゃないじゃんw」
「誰が見にいくんだ、そんなもん」
「送り火をともす意味を履き違えてんじゃね? やめてしまえ」
と、批判的な声もあったそうです。
確かに、ずっと続いてきた伝統行事で日本人の心とも言えるお盆の行事ですから、抵抗のある人が多いのも当然ですね。
そもそも大文字焼きとは
そもそも大文字焼きとは、何のために行われるものなのでしょうか。
大文字焼きは、お盆に故人の霊を弔い、あの世へお送りするための「送り火」が発展したものです。
お盆にこの世に帰ってくると言われている魂を、13日には迎え火を焚いてお迎えし、16日には送り火を焚いてお送りするのがお盆の風習です。火を焚くのは、魂が迷わないように目印を焚くという意味があるそうです。
なので、大文字焼きが行われるのは、お盆の最終日である8月16日。この世に帰って来たたくさんの霊を、華やかにあの世へお送りするための行事というわけですね。
大文字焼きLED化に関する個人的見解
なので、これは私個人の意見ですが、それが目印となり、そして送り出す気持ちが伴っていれば、必ずしも「火」である必要はないと思うんです。
昔から「火」でやってきて、そのイメージがイコールお盆の追悼の気持ちを呼び覚ますものになっているのは事実でしょうが、それでも昔と今とでは事情が変わっているのもまた事実です。
高齢化やコストの問題も、昔はなかった問題かもしれませんし、大文字焼きに限らず、都会のマンションなど火が焚けない環境の人は増えています。
家庭で火が焚けない場合は、電気で灯る盆提灯で代用することもあるように、時代の流れに応じて火が電気に変わっていくのは、自然の流れなのかもしれないと感じます。
一宮市の観光課では、「もう火を焚くことはない」と断言し「前向きに捉えて欲しい」と言っています。
もちろん、火を焚く風習を守り続ける努力も立派ですが、多くの批判を受けることを承知の上で、あえて苦渋の決断をした一宮市も称賛されるべきだと私は感じました。
伝統を守ることも大切ですが、そのせいで、今生きている人間がつらい思いをするのでは、ご先祖様もきっと喜びません。
もしかすると、2018年以降、一宮市に続く地域が出るのかもしれないですね。
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