あなたが「湘南」と聞いて思い浮かぶのは、どんなイメージでしょうか?
夏の海や海水浴、ヨット、サザンオールスターズや湘南乃風、サーフボード、海の家、江ノ電あたりが多そうです。
一応私は「湘南ナンバー」がもらえる神奈川県の沿岸地域に住んではいるんですが、海水浴もできなければヨットもサーファーも見ず、江ノ電も走っていません!
「湘南ってどこからどこまでで、何が基準なのよ!」と長年そのモヤモヤを抱えていたところ、THE・湘南の「藤沢市」に住む友人が、
「湘南はどこからどこまでか曖昧だけど、湘南という名前はどこが由来かは、大磯町の『鴫立庵(しぎたつあん)』って場所に証拠があるらしいよ?」
と教えてくれたので、確認のため現地に行き、調べてみることにしました!
鴫立庵までのアクセス
まず、大磯町は神奈川県の西部沿岸に位置し、東京駅からはJR東海道線に乗れば約1時間で到着します。
私は地元なのでそこまで遠くないのですが、お目当ての「鴫立庵」には駐車場がないため、大磯駅から徒歩で向かいました。
ゆっくりと喋りながら歩いても、10分ぐらいで到着する近さです。
駅から道なりに歩いていくと、国道一号線にぶつかり、横断歩道の先になにやら緑にわっさーと覆われる場所を発見!
横断歩道を渡ってよくみると、階段下におりる形で茅葺屋根の建物がありました。
ただ道を歩いているだけでは見落としていたかもしれません。
ちなみに、すぐ近くにある「大磯 井上蒲鉾店」さんでは、商品を購入すれば鴫立庵を見学する間は駐車場を使用できるという情報もゲットです!
鴫立庵の歴史とは?
まずは、「鴫立庵」のどこに「大磯が湘南発祥の地である」という主張に関係しているのかを、まずは案内看板で確認しました。
要約すると、平安時代を代表する歌人で、新古今和歌集や百人一首でも登場する西行法師が大磯で詠んだと言われている歌に
「心なき 身にもあはれは 知られけり 鴫立沢の 秋の夕暮≫
というものがあるそうです。
それを、江戸時代の寛文4年(1664年)に小田原の崇雪という人が、西行法師の詠んだ歌にある「鴫立沢」の面影を求めて、この場所で草庵を結んだのがこの鴫立庵だとのこと。
そして崇雪は「鴫立沢」とい標石を建てた時に、「崇雪 看盡湘南清絶地」(湘南はとてもすばらしいところだという意味です)と標石の裏側へ刻んだとことから、この地一帯を「湘南」と呼ぶようになったそうなんですね。
これは小ネタとして「湘南の発祥はね…」と、自慢げに話せそうな内容です(笑)
鴫立庵の敷地
しかし、ここまでならネットでも簡単に調べられる内容です!!蘊蓄はこの辺にして、実際に入庵してみましょう!
入ってすぐ右の受付で、入庵料300円(子ども150円)を支払うと案内マップと解説書、そして団扇の貸出がありました。
「緑が多いため蚊除けにもお使いください」とのことで、暑いですし喜んでお借りしました。
しかし、実際はかなり蚊に刺されてしまいましたので、夏に行くなら自分で蚊よけを持参したほうがいいでしょう。
ちなみに、私の出かけた夏の期間は8月31日まで「風鈴祭」が開催されていて、建物や木々にぶらさがった風鈴の音が、涼しげにチリーンと鳴り響いていました。
庭園はこのように石砂利がしきつめられており、案内MAPの順路にしたがって歩くのですが、石造物とお堂がありすぎて足を止めてばかりです。
しかし、広々として幅広い道ですし、長いすも並んでおり、足腰の悪いご年配の方でも無理なく進めますよ。
石造物の内容は様々で、歌碑や句碑もあれば、記念碑や墓碑など86個もあるそうです。
この碑には「西行銀猫」と書かれていたので、なんだろう?と解説書を確認すると「源頼朝から西行に銀猫が贈られたものの、帰り道にその猫を子どもにあげた」というエピソードを元に
「西行のごとき無欲無我の慈悲をもち、いかなる者に対しても変らぬ心でのぞむよういましめに建てた石碑」とのことで、つい笑っちゃいました。
こうして一つ一つの石碑を見て解説を読んでいくと、あっという間に時間も過ぎ去りますし、蚊の的にもなるのは当然ですね!
鴫立庵の建物
でも、子どもには退屈な場所で来ないんじゃないかなー?
と思いきや、建物の外に子供の靴があり、耳を澄ませてみると「花の色は~」「ハイ!」「秋の田の~」「ハイ!!」どうやら百人一首の練習をしているようです。
確認すると、建物の中はなんと「俳諧道場」!しかも、日本三大俳諧道場の一つだそうで、なんとも渋いというか風情溢れる場所です。
建物の外にはずらりと句札も貼られてあり、投句箱も設定されているので、歴史ある雰囲気に乗せられて思わず一句詠みたくなりました。
残念ながら今回は、実際に建物内にお邪魔することはできませんでしたが、茶屋もやっているので秋ごろまた来たいですね。
大磯は海水浴場発祥の地
鴫立庵を満喫したので、さあ帰りましょう~!となりそうだったのですが、せっかくなので鴫立庵から徒歩5分ほどの海岸の方までいってみると、
「海水浴場発祥の地」という石碑を発見!!
要約すると「明治18年に大磯輝ヶ崎海岸に日本最初の海水浴場ができた」という内容でした。
やはり、湘南といえば「海」なんですよね~。
せっかく湘南発祥の地である大磯まで来ていただいたなら、思いっきり泳いで帰ってくださいね!
そういう私は、この後は港で灯台をみて、海辺をぐるぐるしただけですけれど(笑)
まとめ
駅前にあったこちらのイタリアンレストランでランチをしたのですが、こちらの建物も大正元年に建てられた貿易商の別荘だったんですって!
鴫立庵や大磯各地の歴史をまとめるだけでも、小学生の夏休みの宿題になりそうな感じでしたよ。
タイムスリップした感覚にもなれる鴫立庵で、ぜひ湘南の海と風を満喫してください!